相続の手続き期限と流れ|放棄・申告・登記の注意点まとめ

遺産相続 相続放棄 限定承認 単純承認

相続に直面したとき、書類を集めるなど大半は自身で動かなくてはならないことが多いです。実際に、戸籍を辿るだけでも知らなければ難しいことがたくさんあります。ましてや、本籍地が遠い、出生を辿るとよく知らない土地であったなど様々です。相続はそんなに頻繁に起こることではないため、ほとんど知らない方も多いのではないでしょうか。書類だけでも幾つもの対応がある上に、その中で相続人同士の話し合いも行わなければなりません。手続きには期限があるものもあり、その期限を過ぎると手続きができなくなる場合もあります。今回は、どのような手続きをしなくてはならないのかを、期限を見ながらみていきましょう。

期限や内容について

《7日以内に行わなければならないこと》

死亡届は故人の死亡後7日以内に提出しなければなりません。死亡診断書を医師に記載してもらい役所に提出しに行きましょう。

《相続開始から3ヶ月以内に行わなければならないこと》

相続人が被相続人から受け継ぐ全ての財産を放棄することを「相続放棄」といいます。被相続人の負債が多い場合や、家業の経営を安定させる為、長男以外の兄弟姉妹が相続を放棄するときなどに行われます。また、相続財産に対して、負債の方が多いかどうか判断がつかない場合には、相続分がマイナスにならない程度に遺産を相続する「限定承認」という方法があります。相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄もしくは限定承認を行わない場合には、遺産のすべてを引き継ぐ「単純承認」とみなされますので注意が必要です。

その他にも、被相続人が亡くなる日までの所得について、所得税の確定申告をする必要があります。これを準確定申告といいます。やり方に関しては通常の所得税の確定申告と同じですが、特に期日に注意が必要です。準確定申告が必要な場合は、相続開始を知った日の翌日から4ヵ月以内に相続人全員の自署をした申告書の提出と納税を行わなくてはなりません。

《相続税の申告・納付は10ヶ月以内》

相続税の申告・納付は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。10ヶ月以内に相続税の申告がされない場合には、延滞税、加算税等が課されるほか、配偶者の税額の軽減や小規模宅地の特例等を受けられなくなるので注意しましょう。

相続登記について

被相続人が名義人だったものは、相続する人に名義を変更しなければなりません。また、2024年4月には、不動産を相続により取得した場合3年以内に相続登記をすることが義務付けられました。相続登記をしない場合10万円以下の罰金が科される可能性があります。

最後に

相続での手続きは、当事者にならないと意識されない方がほとんどです。しかも、その相続には期限があることを知らない方も多いでしょう。葬儀を終えて、気持ちも落ちついてからゆっくり行おうと思っていると、期限が過ぎてしまって遺産相続についての問題が複雑になりかねません。頭の片隅に、相続には様々な期限があることを覚えておく必要があります。そうすれば、もし専門家に依頼する場合であっても、ゆとりを持って依頼することができるのではないでしょうか。

相続の教科書 税理士編集部

みつきコンサルティングに所属する税理士を中心に構成されています。みつきコンサルティングは、多様な業界出身のコンサルタント、公認会計士、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士(一部提携)が、それぞれの専門性を発揮し、包括的な財務・税務アドバイザリーを全国で提供しています。