遺言について|公正証書遺言
遺言の作成形式には3種類あり、その中の1つに「公正証書遺言」があります。それでは、公正証書遺言とはどのような遺言なのでしょうか。公正証書遺言の性質や作成方法などをご紹介します。
公正証書遺言
《公正証書遺言とは》
公正証書遺言書とは、2人以上の証人の立ち合いのもと、公証人を通して作成された遺言書のことを指します。
公証人とは、公正証書といわれる公的な証明のための書類を作成する人のことで、公証人は、裁判官や検察官などの実務経験がある人がなり、公証役場に所属しています。この公正証書遺言は、公証人が作成することから、もっとも信頼性の高い遺言の形式とされています。
《作成方法》
遺言を残す遺言者と、その内容の証人となる人を2人以上連れて、公証役場で公証人の筆記により作成します。もちろん、遺言の原案は遺言者が決めるのですが、作成を公証人にお願いするという作成方法です。
この時の2人以上の証人には、遺言者の相続人がなることはできません。ですので、信頼のおける友人や知人、弁護士など、相続に対して利害関係のない第三者に証人になってもらうようにしましょう。
作成時には遺言者と2人以上の証人が、公証人の作成した遺言書の中身を確認し、全員が証人の署名と押印をします。さらに、公証人が作成した旨を証明する署名と押印がされます。
《費用》
目的財産の価額 | 手数料の額 |
---|---|
100万円まで | 5000円 |
200万円まで | 7000円 |
500万円まで | 11000円 |
1000万円まで | 17000円 |
3000万円まで | 23000円 |
5000万円まで | 29000円 |
1億円まで | 43000円 |
公正証書遺言は、公証人に作成してもらうので費用がかかります。その費用は、遺言の中に出される財産の金額によって変動します。 また、こちらの表に記載されている作成費用は目安の価格となっていますので、具体的な金額を算出するには公証役場に確認をとることをお勧めします。
《開封方法》
相続が開始し、公正証書遺言が見つかった場合には、検認の手続きなどをとる必要はなく、その場ですぐに開封することができます。なぜなら、公正証書遺言は公的な文書を作成する専門家である公証人が作成するため、最も信頼性が高い遺言とされているからです。
《メリット・デメリット》
まずはじめに、メリットとして、
・開封時に検認の手続きをとる必要がない。
・公証人が作成するので、遺言の内容に不備が生じない。
・死後に遺言を見つけてもらえないトラブルを予防できる。
・遺言書の紛失や偽造、勝手に破棄されるなどのトラブルを防ぐことができる。
などが挙げられます。
1つ目は、公証人を通して作成された公正証書遺言は、自筆証書遺言や秘密証書遺言とは異なり、開封時の検認の手続きを踏む必要がありません。ですので、相続人に手間をかけずに自分の意思を伝えることができます。
2つ目は、公証人を通して作成するので、内容が法律的に有効なものをきちんと作成することができます。つまり、相続が開始した際、遺言書の内容に不備があり、該当の遺言が無効になってしまうことなどを防ぐことができます。
3つ目は、遺言書の作成時には公証人以外の証人を2人以上必要としますので、死後に相続が開始すると、証人になった人が遺言書の存在を他の相続人に知らせてくれる可能性が高く、遺言書を発見してもらえなかったなどのトラブルを予防することができます。
4つ目に、公正証書遺言は、遺言書の原本を公証役場で保管します。ですので、せっかく作った遺言書を紛失してしまうことや、悪意のある人による偽造や破棄を防ぐことができます。
次にデメリットとしては、
・作成に費用がと時間がかかる。
・2人以上の証人を集める手間がかかる。
1つ目として、公正証書遺言は公証人に作成してもらうため費用が掛かり、さらに、すぐに作成とはいかずに内容の打ち合わせなどを行わなければなりません。そのため、遺言を完成させるまでには費用に加えて時間もかかります。
2つ目に、作成の際には2人以上の証人を集めなくてはならず、手間がかかります。また、その証人は遺言の内容を確認することになるので、自身が亡くなるまで遺言の内容を誰にも知られたくないという方にはデメリットといえるかもしれません。
最後に
公正証書遺言の作成には費用と時間がかかりますが、こちらの遺言は公証人が作成するので信頼性が非常に高く、内容に不備が生まれることも防ぐことができます。さらに、開封時に相続人は検認の手続きをとる必要がなくなるので、遺された人(相続人)に手間をかけさせない点においても優れているといえます。 信頼性の高い遺言の作成をお考えの方は、公正証書遺言を検討されてみてはいかがでしょうか。特別な理由や強い目的がない場合には、この公正証書遺言がお勧めです。