農地・山林の評価方法 〜生産緑地の2022年問題について〜

2022年問題 中間農地 宅地比準方式 純農地

相続財産の中に農地を持っている方、山林を持っている方もいらっしゃると思います。農地や山林の評価は、宅地への転用の可否などによって評価方法が変わってきます。 農地には、純農地・中間農地・市街地周辺農地・市街地農地と4種類あり、山林には純山林・中間山林・市街地周辺山林と3種類あります。
今回は、農地・山林の様々な評価方法についてご説明致します。

純農地と中間農地の評価方法

純農地とは、宅地の影響を受けない土地のことを指します。つまり農作を主に行っている農地のことです。
中間農地とは、純農地よりも土地として売買できる可能性が高い土地のことを指します。純農地も中間農地も評価方法は同じ倍率方式となっています。
計算方法は宅地の場合と同じで、農地の固定資産税評価額に、地域によって決められた倍率をかけて評価します。

市街地周辺農地と市街地農地の計算方法

市街地周辺農地とは、市街地の近くの農地のことを指します。また、住居などの宅地に転用することもできる農地のことです。
市街地農地とは、農地の中でも既に転用許可がとってある土地のことを言います。市街地農地の評価方法は、宅地比準方式または倍率方式で計算します。宅地比準方式とは、農地から宅地に変えるために必要な費用を国税局が決め、その額が控除されます。
詳しい計算式でいうと、農地を宅地としてみなした場合の1㎡あたりの価額を出し、国税局が決めた農地から宅地に変えるための1㎡あたりの額を差し引きます。この計算によって出た額に土地の面積をかけると評価額が出ます。
市街地周辺農地は、市街地農地の評価額の80%で評価します。

山林(純山林・中間山林・市街地山林)の評価方法

山林も農地と同じような評価方法です。純山林・中間山林は倍率方式で計算し、市街地山林は宅地比準方式もしくは倍率方式で計算します。

生産緑地の場合はさらに評価が低くなる?

生産緑地とは、生産緑地法によって指定された農地のことを言います。生産緑地法というものは、災害などを防止するための緑地を将来に残そう、という働きからできました。生産緑地に指定されると税制面で優遇されるようになります。また30年間の営農の義務があります。
生産緑地法は1992年度から始まりました。現在で指定されている生産緑地のほとんどは、初年度に認定されているものです。ただ、これが2022年になると、約80%の生産緑地の営農義務が外れます。そうなると税制面が急激に厳しくなり、営農を行うことが出来なくなる農家が一気に増えると考えられています。これが生産緑地の「2022年問題」と言われています。ですので、1992年に生産緑地に指定された土地を持っている方は、2022年が来るまでに対策を打つ必要があります。

2022年までに農家がすべきこと

農地・山林の評価は、市街地周辺などによって違い、地域によっても倍率が違います。ですので、自分の土地がどういった評価方法になるのか調べておくと良いかもしれません。また、生産緑地に関してこれから対策を打つ必要のある方は、早めに専門家の先生などに相談してみてはいかがでしょうか。