未成年者の相続|未成年者の相続における特別代理人

未成年者

未成年者が財産を受け取る法定相続人になると、特別代理人といわれる第三者の代理人を選任しなければなりません。では、特別代理人とはどのような存在なのでしょうか。また、なぜ特別代理人を選ばなければならないのでしょうか。 今回は、相続における未成年者の特別代理人について、選任方法も含めて確認してみましょう。

特別代理人とは

《通常の代理人》

通常、未成年者が法律にかかわる契約をする場合は、未成年者は法律に関わる判断を正しく行えないとされているので、親が代理人となって手続きを行う必要があります。これを法定代理人と呼びます。 例えば、携帯電話を契約して購入する時や、20歳未満でアルバイトをするときなどに、保護者である親のサインや同意が必要になるのは、未成年者のみでは契約などの法律的な手続きができず、親が法定代理人として代理をする必要があるからです。

《特別代理人》

通常の未成年者の代理人は、該当の未成年者の親が「法定代理人」になりますが、相続などのように親が該当の未成年者の代理人として相応しくなく、代理人としての役割を行使することができない場合に、特別に選任される第三者の代理人のことを「特別代理人」と呼びます。

《相続の場合、親は代理人になれない。》

相続の場合は、親が子どもの代理人になることはできません。なぜなら、未成年者である子どもの代わりにその親が代理人になってしまうと、子どもにとって不利益な遺産の分配になってしまう恐れがあるからです。 例えば、父親が亡くなり、その遺産を配偶者である母と未成年者の子どもが相続することになったとします。この場合に、母が子どもの代理人になってしまうと、子どもの利益を考えていない遺産の分配が可能になってしまいます。これでは不公平なので、遺産の分割や相続に関係していない第三者を特別代理人として選任します。

特別代理人の選任方法と費用と書類

《選任方法》

特別代理人を立てるには、該当の未成年者が住んでいる場所の家庭裁判所に申し立てる必要があります。特別代理人は、その時の相続に関わっていないなど、利害関係のない人であれば誰でもなることができます。 家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てるのには費用がかかります。また様々な書類も必要ですので、下記にまとめます。

《必要な書類》

まずは、特別代理人の申し立てに必要な費用からみていきましょう。 未成年者1人につき、800円分の収入印紙と、裁判所から書類などの通知がくるので、その際に必要な切手なども費用として掛かってきます。ですが、この切手に関しては裁判所によっては必要ないところもあるので、ご自身が特別代理人の申し立てをしに行く裁判所に確認してみましょう。

《必要な費用》

・特別代理人選任申立書
・親権者または未成年後見人の戸籍謄本
・特別代理人の候補者の住民票か戸籍の附票
・遺産分割協議書かその協議書案、もしくは登記簿謄本
・相続との利害関係を証明する資料

少し専門的な言葉が出てきたのでご説明します。 まず、「親権者」または「未成年後見人」と「戸籍謄本」とありますが、未成年後見人とは、該当の未成年者に親などの親権をもっている人がいない場合に、本来、親が行うはずの法定代理人としての務めを果たす人のことをいいます。(法定代理人に関しては、本記事の通常の代理人をご参考ください。) もう一つは、遺産分割協議書です。こちらは遺産をどのように分割するかを話し合い、こういう分割にしましたということをまとめた書類になります。また、正式な遺産分割協議書ではなく、案の状態である遺産分割協議案でも大丈夫です。

最後に

未成年者の特別代理人は、通常の法定代理人とは異なり、親がなることができないなどのルールが設けられています。子どもに不利益な相続になってしまわないようにという配慮に基づいて定められたルールですので、きちんと守るようにしましょう。