贈与税の申告は自分でできますか?提出方法や必要書類を解説

自分で手続き可能な贈与税の申告について、提出方法や必要書類をわかりやすいイラストで解説しています。

贈与税の申告は自分でできます!110万円超や特例利用時は翌年3月15日までに手続きが必要です。

贈与された財産が現金であれば、申告手続きはシンプルでご自身で行えます。2026年現在の税制では、年間110万円を超える贈与を受けた方や特例を適用する方が対象です。申告期限は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までとなります。期限を過ぎるとペナルティが発生するため、早めに準備を進めましょう。

贈与税の申告・届出が必要になる4つのケース

個人から財産をもらったときは、一定の条件にあてはまると贈与税の申告が必要になります。代表的な4つのケースを確認しましょう。

暦年課税で年間110万円を超える贈与を受けたとき

暦年課税は1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額をもとに計算します(相続税法第21条の2)。基礎控除額である年間110万円を超える場合、超えた部分に対して贈与税がかかり申告が必要です。110万円以下であれば税金はかからず、申告も不要となります。

💡 プロが教える!実務のワンポイント

110万円の基礎控除は「あげた人」ではなく「もらった人」ごとに判定します(租税特別措置法第70条の2の4)。例えば父と母から100万円ずつ合計200万円受け取ると、90万円の課税対象が発生します。事前契約による定期贈与とみなされると課税対象になるため、毎年その都度贈与額を決めて合意し、契約書に残すことが大切です。

相続時精算課税制度を選択して贈与を受けたとき

60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合、相続時精算課税を選択できます(年齢は贈与を受けた年の1月1日時点で判定。相続税法第21条の9)。2,500万円までの特別控除枠と年110万円の基礎控除枠があります。この制度を初めて利用するときは、財産が110万円以下であっても「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)を適用するとき

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産やその取得資金を贈与する場合、最高2,000万円まで控除できます(相続税法第21条の6)。基礎控除110万円とあわせて最大2,110万円まで非課税となりますが、特例の適用により税額が0円になる場合でも必ず申告が必要です。

住宅取得等資金贈与の非課税特例を適用するとき

父母や祖父母から住宅の新築・取得資金の贈与を受けた場合、省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円まで非課税となります(租税特別措置法第70条の2)。こちらの特例も税額が0円になる場合を含めて、期限内の申告手続きが必須要件です。

💡 プロが教える!実務のワンポイント

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)や住宅取得等資金の非課税特例は、特例の適用によって税額が0円になる場合でも申告が必要です(相続税法第21条の6、租税特別措置法第70条の2)。住宅取得等資金の非課税特例は、原則として翌年3月15日までの期限内申告が必要です。配偶者控除は期限後申告でも適用できますが、早めに申告しましょう。

贈与税の課税方式と特例の主要一覧

贈与税の主な課税方式と非課税特例の概要を整理しました。

制度・特例の名称概要・非課税枠申告・届出の要否
暦年課税年間110万円の基礎控除110万円超で必要
相続時精算課税累計2,500万円特別控除+年110万円控除初年度は選択届出が必要(110万円超は申告も必要)
配偶者控除(おしどり贈与)最高2,000万円控除(婚姻20年以上)0円でも申告必須
住宅取得等資金贈与省エネ住宅1,000万/一般住宅500万0円でも申告必須

ご自身の受け取った贈与がどの制度にあてはまるか確認して手続きを進めてください。

贈与税の申告期限と遅れた場合のペナルティ

贈与税の申告と納付には定められた期限があります。遅れた場合はペナルティが発生するため注意してください。

申告と納付の期限は翌年2月1日から3月15日まで

贈与税の申告期限と納付期限は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日までです(相続税法第28条、第33条)。たとえば2025年中に受け取った贈与は、2026年3月16日までに手続きと納税を完了させる必要があります。期限日が土日祝日のときは翌平日に繰り越されます。

💡 プロが教える!実務のワンポイント

贈与税の申告期限と納付期限はどちらも翌年3月15日です(相続税法第28条、第33条)。税務署から納付書は送付されないため、自ら納付書を作成して金融機関で支払うか、e-Taxでのキャッシュレス納付を手続する必要があります。申告だけを済ませて納付を忘れると延滞税が課されるため、必ず期限内に両方を完了させましょう。

期限を過ぎた場合にかかる加算税と延滞税

期限までに申告や納付をしなかった場合、本税とは別に罰則として加算税や延滞税が課されます(国税通則法第60条、第66条)。税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税が原則5%ですが、税務調査後に指摘されると税額に応じて15%・20%・30%となります。意図的な隠蔽には35%から40%の重加算税が課されます。

贈与税の申告方法と申告書の種類

贈与税の申告手続きはスマホやパソコン、税務署窓口、郵送で行えます。利用する制度にあわせて提出する申告書を用意しましょう。

提出方法はe-Tax・持参・郵送の3種類

申告書の提出方法は3つあります。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、スマホやパソコンからe-Taxで直接送信できます。印刷した申告書を受贈者の住所地を管轄する税務署の窓口へ持参するか、郵便や信書便で送付して提出することも可能です。

申告書の種類と組み合わせパターン

贈与税の申告書には第一表、第一表の二、第二表の3種類があります。全員が提出する第一表に加えて、適用する特例に応じて必要な用紙を組み合わせます。

適用する制度・特例第一表第一表の二第二表
暦年課税のみ○××
相続時精算課税のみ○×○
配偶者控除(おしどり贈与)のみ○××
住宅取得等資金贈与のみ○○×
相続時精算課税+住宅取得等資金贈与○○○

作成コーナーを利用すれば画面の案内に沿って入力するだけで必要な書類が自動判定されます。

贈与税申告に必要な添付書類と提出前の準備

申告書を作成した後は、必要な添付書類をそろえて提出します。申告内容によって求められる書類が異なります。

全員共通で必要な本人確認書類

贈与税の申告では、申告者全員のマイナンバー確認と身元確認が必要です(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第16条)。書面で申告する場合、マイナンバーカードをお持ちの方は窓口で提示するか、両面の写しを添付します。カードがない場合はマイナンバーが記載された住民票の写しなどと、運転免許証などの本人確認書類を用意します。e-Taxで申告する場合は、本人確認書類の写しの提出は不要です。

制度ごとに求められる添付書類

特例税率の適用で基礎控除後300万円を超える場合や相続時精算課税を選択する場合は、受贈者の戸籍謄本が必要です。配偶者控除を適用するときは贈与から10日を過ぎて作成された戸籍謄本や戸籍の附票の写し、居住用不動産の登記事項証明書、住宅取得等資金の特例では登記事項証明書や売買契約書の写しなどを添付します。

💡 プロが教える!実務のワンポイント

特例税率では基礎控除後の金額が300万円を超える場合、相続時精算課税では制度を選択する際に、受贈者の戸籍謄本などの添付が必要です(国税庁・財産をもらったとき、国税庁タックスアンサーNo.4304)。過去の申告で提出済みであれば省略できるケースもありますが、記載内容に不備があると税務署の確認で手続が止まります。申告書を提出する前に、受贈者と贈与者の続柄が証明できるか確認しましょう。

贈与税の申告に関するFAQ

Q1:親から受け取った生活費や教育費にも贈与税はかかりますか?

扶養義務者から生活費や教育費として必要な都度直接充てるために受け取った財産には、贈与税はかかりません(相続税法第21条の3第1項第2号)。ただし、まとめて数年分を受け取った場合や、生活費の名目で受け取った資金を預貯金に回したり株式の購入に充てたりした場合は課税対象となります。

Q2:贈与税の申告内容を間違えてしまった場合は訂正できますか?

税金を多く納めすぎていたときは、法定申告期限から6年以内に「更正の請求」を行うことで還付を受けられます(国税通則法第23条)。税金が不足していたときは「修正申告」をして不足分と延滞税を納めます(国税通則法第19条)。税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。

Q3:110万円以下の贈与でも贈与契約書は作成したほうがよいですか?

110万円以下の贈与は申告不要ですが、贈与契約書を作成しておくことをおすすめします。契約書を残しておくと、将来の相続時に名義預金と疑われた場合も、贈与した事実を説明しやすくなります。毎年贈与する場合は、その都度贈与額を決めて合意することも大切です。双方の署名捺印がある書面を残しておくと安心です。

Q4:申告書を提出したあとの納付方法はどのような種類がありますか?

納付方法には金融機関や税務署の窓口での現金納付のほか、e-Taxを利用したダイレクト納付やインターネットバンキング納付があります。また、クレジットカード納付やスマホアプリ納付(30万円まで)も利用可能です。ご自身の都合に合わせた決済手段を選んで期限内に支払いを済ませましょう。

相続の不安は税理士へ相談を

贈与税の申告はご自身でも可能ですが、特例の適用要件の確認や不動産・株式の評価計算は専門知識が必要です。自己判断による申告漏れや計算ミスは、将来の相続時に思わぬ税務リスクや追徴課税を招く恐れがあります。複雑な贈与や節税対策に不安がある方は、相続と贈与に詳しい税理士へ相談することをお勧めします。

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柏原 朋恵

監修者:税理士 柏原

商社での経理実務を経て、会計業界へ転身。税理士法人にて約20年にわたり、中小企業の決算・税務申告から、上場企業の連結納税、SPC業務まで幅広く従事。みつきコンサルティングではオーナー企業の事業承継や相続税・贈与税のアドバイスも提供。本記事では、長年の実務経験に基づき、内容の正確性と専門性を担保するため、専門家の視点から監修を行っている。(税理士登録番号:126165)