宅地の評価の種類と方法
使用している宅地の価額について気になったことはありませんか。ただ、たとえ気になったとしても、ほとんどの方は調べ方がわからないのではないかと思います。しかし、相続財産の計算をするときは必要になってきますので、宅地の価額を知っておいて損はないと思います。
今回は宅地の種類や評価額の計算方法をご説明したいと思います。
「倍率方式」と「路線価方式」とは?
宅地の評価方法には「倍率方式」と「路線価方式」があります。路線価方式とは、市街地にある宅地を計算する方法で、市街地の宅地に面している道路は価額が決められているので、その価額を使い評価額を計算するものです。この路線価方式が使えない宅地は倍率方式を使います。
倍率方式とは、宅地に定められている固定資産税評価額に一定の倍率をかけて出す方式です。倍率は国税局が毎年見直しており、倍率表によって計算することができます。また、倍率表は国税庁のホームページでも確認することが出来ます。(下記参照)
下記の例だと、町田市の相原町の場合、固定資産税評価額に1.1倍掛けることで評価額が出ます。固定資産税を調べる方法は、各自治体が発行する評価証明書で確認することが出来ます。
<参照元>国税庁ホームページ【http://www.rosenka.nta.go.jp/main_h28/tokyo/tokyo/ratios/html/d27101rf.htm】
路線価図を使った計算方法
今度は実際に路線価図を使って計算してみます。路線価図は、国税庁のホームページに掲載されています。また路線価図も毎年改正されています。
路線価
道路の上に矢印とその間に数字が書いてあるかと思いますが、これが「路線価」といいます。間の数字は、1㎡あたりの価額になっており、1,000円単位で書いてあります。この数字に土地の面積をかけることで、土地の評価額が計算されます。<参照元>国税庁ホームページ【http://www.rosenka.nta.go.jp/main_h29/tokyo/tokyo/prices/html/40056f.htm】
借地権割合
数字の後ろにアルファベットがついているのが借地権割合です。借地権割合は、宅地を貸している場合などに必要になってきます。詳しくは別項でご紹介しています。地区区分
路線価に数字が丸で囲まれているのもあります。これは地区区分を表しており、画地調整を行う場合に必要になります。また、黒く塗り潰されている部分は、地区区分の適用範囲を表してあります。画地調整
路線価は、宅地の一方が道路に面しているような標準的な宅地で示してあります。しかし、角にあるような土地は2つの道路に面しており、間口が広いものや、逆に狭いものなど、宅地にはさまざま種類があります。こういったさまざまな宅地に、実際の価値により近い評価額を出すために画地調整が必要になります。評価額の計算方法
①一方のみに道路がある宅地の場合上手のように。700Cと書かれた路線価があるとします。この路線価に面している宅地の計算方法は、
70万円 × 奥行価格補正率(0.99)= 69万3千円
となり、これが1㎡の価額になります(奥行価格補正率については下記参照)。
これに地積をかけた、
69万3千円 × 400㎡(地積) = 2億7720万円(宅地の評価額)
上記が1方のみ道路がある場合の計算方法になります。
②角地の場合
角地の場合は上手のように、路線価が2つ出てきます。ですので、正面(路線価が大きい方)と側方の2つを計算して足すことで評価額を算出します。 正面路線価の計算式については上記①と同じですので、ここでは次に側方路線価を計算します。
65万円×奥行価格補正率(1.00)×側方路線影響加算率(0.03)=1万9500円
上記が側方路線価になりますので、この2つの合計を足し地積をかけます。
( 69万3千円 + 1万9500円 )× 500 = 3億5625万円
これが今回の角地評価額になります。
なお、上記の計算の際に出てきた「奥行価格補正率」と「側方路線影響加算率」については、国税庁のホームページに記載されています。
<国税庁ページ>
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/02/07.htm
さまざまな宅地の評価
①小規模宅地の特例配偶者や子供などの被相続人が、宅地を住居や事業として使っていた場合に活用できます。評価額を最大80%まで下げることが出来ます。
②私道
通常の宅地の30%で評価することが出来ます。しかし、公道と同じように誰もが通行しているような道路は、私道として認められない場合があります。
③道路幅が極端に狭い宅地
道路の幅が4m未満の場合は、建物を将来建て替える場合に、法律により敷地の境界線を道路の中心線から2m以上離す必要があります。また、後退する部分の70%を評価額から引くことが出来ます。