未成年者の相続に必要な特別代理人|選任から費用まで解説

遺産相続 戸籍謄本 特別代理人 遺産分割協議書

相続人の中で、未成年の子とその親とが同時に相続人となる場合には、原則として未成年の子のために特別代理人を選任する手続きが必要です。今回は、特別代理人を選ぶとはどういったことなのか、費用はどれくらい掛かるか、どのような流れになるのかを具体的にご説明致します。

特別代理人の選任

特別代理人を選任するためには、管轄の家庭裁判所に特別代理人選任申立の手続きを行わなくてはなりません。

申立てに必要な書類

  • ・未成年の相続人の戸籍謄本
    ・親権者の戸籍謄本
    ・特別代理人候補者の住民票
  • ・遺産分割協議書の文案など

この他にも必要となれば別の書類の提出も求められることがあります。当事者である相続人の親子間で利害関係のない第三者を予め申立書に記載することが必要です。

必要な費用

特別代理人の申請にかかるのは以下のような費用です。

・子供一人につき800円の収入印紙
・裁判所から送るための切手代
・専門家に依頼する場合の費用

もし、専門家に費用を支払って依頼した場合でも、戸籍謄本などの資料を集めたりするには時間が掛かります。しかし、基本的に書類集めも資料の作成も全て専門家が行ってくれますので、費用面などを確認しながら依頼に向けて相談してみるのもよいでしょう。

どのくらいの期間で特別代理人が決定するのか

特別代理人の申立てをしてから約1か月~2か月で特別代理人が選任されるといわれています。もし、特別代理人が決定したら、特別代理人が未成年者の相続人に代わって遺産分割協議書へ署名・押印をします。また、相続遺産に不動産がある場合は、不動産の登記も特別代理人が行います。この時に特別代理人の印鑑証明書などが必要です。

もし遺産分割協議を特別代理人の選任無しで行った場合

遺産分割協議を特別代理人の選任無しで行った場合は、無権代理行為になります。無権代理行為とは、代理する権限がない人が、勝手に未成年の代理人として遺産分割協議に参加したり、決めたりする行為のことです。もし無権代理行為が行われた場合、未成年者(相続人)が成人になった後に遺産分割協議内容を追認しなければ遺産分割協議は無効となってしまいます。

未成年者の相続人には特別代理人を選任することが重要です

今回は特別相続人について少しご紹介してみました。特別代理人が確定するのにも時間と労力が掛かりますので、このような状況になった場合には一度専門家へ相談されることをお勧め致します。

相続の教科書 税理士編集部

相続税申告、遺産分割、生前対策など、相続に関するあらゆるお悩みを解決するための情報を発信する専門家チームです。読者の皆様が安心して相続手続を進められるよう、正確で分かりやすい記事の制作を心がけています。本記事の執筆は編集部が担当しました。

監修:税理士 綿引 征典(わたひき まさのり)
国内大手証券会社で財産運用の助言業務を経験後、相続・事業承継を専門とする会計事務所に勤務。現在はみつきコンサルティングにて、法人税務やM&Aに関する財務・税務アドバイザリーに従事。本記事では、金融機関と相続専門会計事務所で培った豊富な実務経験に基づき、内容の正確性と専門性を担保するため、専門家の視点から監修を行っています。
(東京税理士会四谷支部所属|登録番号:140249号)