相続税の基礎控除額と計算方法|専門家が具体例で解説する仕組み
亡くなった被相続人の財産の合計が基礎控除額を超えているかいないかで、相続税を支払う必要があるのかないのかが決まります。基礎控除額を超えているかどうかは、課税価格の計算をしなければ分かりません。
課税価格の計算について
相続税の対象となる課税価格の計算は、本来の相続財産とみなし相続財産、一部の贈与財産の合計から債務や非課税財産、さらに葬式費用を差し引いた金額となります。
<本来の相続財産>
被相続人が所有していたお金に換算できる価値のあるもののことです。貯金、株式、土地、建物、ゴルフ会員権などで財産の評価はそれぞれ異なります。
<みなし相続財産>
被相続人が保険料を支払っていた場合の生命保険金、死亡退職金、定期金に関する権利等のことです。
<贈与財産>
生前贈与の際は贈与税が発生します。しかし、贈与時点では2,500万円までの贈与財産に対しては、贈与税を掛けずに相続時に相続税として掛けるかを選べます。これは「相続時精算課税制度」と呼ばれる制度で、この制度を活用した場合は贈与時の価額が相続財産に加算されます。贈与には上記の制度以外にも通常の暦年課税があり、相続開始前7年以内に贈与されたものは贈与時の価額を相続財産として加算します。(令和6年1月1日~令和12年12月31日までに贈与された財産については経過措置があります。)
<非課税財産>
墓地や祭具、仏壇、生命保険金・死亡退職金・弔慰金のうちの非課税とされる額などは非課税財産となります。
基礎控除額は何を基準に計算されるのか
実は、基礎控除額の計算に必要なこととして法定相続人の数があります。相続税法では、法定相続人の数を増やして基礎控除額を上げるのを防ぐため、実子がいる場合の養子は一人まで、実子がいない場合の養子は二人までと制限が設けられています。あくまでも基礎控除額を計算するための法定相続人の数ですので、実際の民法上の法定相続人とは異なります。
税金のかからない範囲とは?
では、実際に相続税がかからない場合をみてみましょう。
基礎控除額・・・3,000万円+600万円×法定相続人の数
上記の計算式で計算した金額が基礎控除額になります。遺産額が基礎控除以下だった場合、相続税はかかりません。
相続税の計算には基礎控除額と法定相続人の数が必須です
相続税額控除には様々な要件や計算方法があります。そのため要件を満たしている場合には納付金額を下げることも可能になったりします。相続税額の計算については非常に専門的な知識も必要ですし、相続財産の評価ミスや計算ミスがあると税務署から申告漏れや間違っている事を指摘され訂正などに動かなくてはなりません。専門家に依頼をすると確かに費用は掛かりますが、思わぬ相続トラブルに発展しないためにも早めに相談してみるのもひとつの手段だといえます。