相続放棄を全員が選んだ場合の手続きと気をつけるべきポイント

遺産相続 相続放棄 債権者

亡くなった被相続人の遺産が負の遺産ばかりだった場合には「相続放棄」という方法があります。しかし、負の遺産ばかりであるため相続を放棄したいと相続人全員が考えた場合にはどうなるのでしょうか。今回は相続放棄についてご説明致します。

相続放棄するとどこまで相続人がいなくなるのか

そもそも相続人が相続放棄をした場合には、第一順位から第二順位、第三順位と移っていきます。そして第三順位の人が相続を放棄すると相続人がいなくなるということが起こります。

全員が相続放棄した場合

相続人全員が相続放棄をした場合や、相続人が存在しているのか存在していないのか分からないとき、家庭裁判所は利害関係人の申し立てにより、相続財産の清算人を選任します。

相続財産清算人とは

相続財産清算人は相続人を捜索しつつ相続財産を管理・清算し、もし相続人が現れない場合は最終的には国庫に相続遺産を引き継ぎます。

相続財産清算人の選任の申し立てには予納金が必要です

明らかに債権者が損をすると判断した場合には、裁判所に申請がされないこともあります。なぜなら相続財産管理人の選任を申し立てるときは家庭裁判所に予納金を支払わなくてはならないからです。この金額を支払うだけの預貯金や不動産を持っていないことが分かれば、予納金すらも回収が出来ないため相続財産清算人の選任を申し立てない場合が多いでしょう。 また、原則相続放棄をした後の撤回はできません。例外があるとすれば恐喝などの圧力や詐欺にあったなどの場合です。

最後に

多く残った借金を相続する必要はありませんが、相続放棄をする場合はご家族での話し合いや説明が必要になります。相続放棄は申し立てに期間があり、手続きも複雑です。まずは専門家に相談することをお勧め致します。

相続の教科書 税理士編集部

相続税申告、遺産分割、生前対策など、相続に関するあらゆるお悩みを解決するための情報を発信する専門家チームです。読者の皆様が安心して相続手続を進められるよう、正確で分かりやすい記事の制作を心がけています。本記事の執筆は編集部が担当しました。

監修:税理士 綿引 征典(わたひき まさのり)
国内大手証券会社で財産運用の助言業務を経験後、相続・事業承継を専門とする会計事務所に勤務。現在はみつきコンサルティングにて、法人税務やM&Aに関する財務・税務アドバイザリーに従事。本記事では、金融機関と相続専門会計事務所で培った豊富な実務経験に基づき、内容の正確性と専門性を担保するため、専門家の視点から監修を行っています。
(東京税理士会四谷支部所属|登録番号:140249号)