小規模宅地での二次相続対策
身内が亡くなったときに財産をどのように分けるのか、また、土地や財産を多く所有していると相続税が多く掛かる場合があるので、どのようにして節税対策をするのか、ということが相続する際の課題であることが多いです。以前、ご相談された伊藤さんの父親は財産を多く所有していました。その財産から発生する相続税をなるべく抑えたいという事でご相談されいました。今回は、そんな伊藤さんの実体験に基づいたお話をします。
財産がどの位あるかを把握する
伊藤さんの母親は、5年前に亡くなった父親の財産の半分以上を相続されました。父親は農家の長男だったため、祖父から多くの土地を相続しました。父親はその土地をアパートや駐車場にして賃貸経営をしていました。その後、多くの知人から相続税対策を行わないと相続税が多く掛かると指摘をされましたが、心筋梗塞になり亡くなってしまいました。
父親が亡くなった後、母親は父親が財産を多く所有している事を知っていたため、迅速に対応しなければ多額の相続税を支払わなければならなくなると考え、次男の伊藤さんが中心となりご相談されました。
伊藤さんの所有地は不整形地(旗竿地やL字型・三角型の土地、崖地や傾斜地・高低差のある土地など)が多く、すべてを確認して土地の評価額を下げました。評価額を下げた土地を母親が所有する事で、納税額も抑える事が出来ました。
母親が相続したのは、家賃収入など不労所得が得られる土地になります。その理由としては、まだ元気である母親が仕事をせずに安定した収入が得られれば、生活費などに困らないと判断されたからです。
小規模宅地の特例で節税対策
伊藤さんは実家から離れて暮らしていましたが、2人兄弟のお兄様が母親と生活していました。そういう事情もあり、お兄様が自宅を相続することに誰も疑問をもっていなかったので、小規模宅地の特例が適用できる状態は整っていました。アパートや駐車場の土地に関しても確認しましたが、実家の240㎡を80%減額するのが一番有効的でした。
財産の現金から発生する相続税を抑える方法
父親の遺産には非常に多くの現金があったため、多額の税金を納税しなければなりません。そのため、不動産を購入する事で節税対策が行える事を提案しました。
すべての現金を不動産に換えた場合、病気や怪我の治療、介護施設へ通う事があった際などに困ってしまう為、約半分ほどは手元に残す事にしました。
マンション1棟やアパート1棟を購入する金額もありましたが、空室になった際のリスクや、購入したマンションやアパートで火災が起こった際、地震が起きた際に全てが機能しなくなってしまいます。そのため、マンションやアパートを別々に、尚且つ区分で購入してもらう事にしました。東京都内や地方の主要都市の物件を購入する事で、空室のリスクをなるべく抑え、万が一物件で空室や事故(火事や地震など)が発生した場合でも、他の区分物件が稼働していれば損害を回避できます。
購入された区分物件は全国各地にありますが、将来は伊藤さんが所有する事を前提とし、なるべく良い場所を選んで購入する事にしました。どの物件も駅から近く、スーパーや公共施設が周りにあるため、大学生にも人気のエリアになり、空室にも困ることはありません。
相続された現金を貯金したままにすると、資産も増えず節税対策にもなりません。伊藤さんは、今では不動産で収入を得られる事に感動され、不動産経営を楽しんでいらっしゃいます。
最後に
伊藤さんの場合は、父親の財産が非常に多く残っており突然亡くなってしまいましたが、焦らず冷静に相続に対して対応されたため、しっかりと節税が行えました。小規模宅地の適用などの特例もしっかりと確認していらっしゃいましたが、伊藤さん一人の判断では区分物件(マンションやアパート)を購入する事にすら至らなかったと思われます。
相続が発生するとなった際は、すぐにでも専門の先生に相談することをお勧め致します。