農業をやめた後の畑の有効活用について

土地・建物 農地 遺産相続

日本中の農家の皆さんのおかげで私たちは米や果物を食べることができています。しかし、後を継ぐ人が年々少なくなっているという現状もあります。
後継者がいなくなり、そのまま土地を残す事はあまり得策ではありません。その理由を、相談に来られた森田さんの実例を入れて説明したいと思います。

森田さんのケース

森田さんは農家で、息子が一人いました。森田さんの息子は東京に出て無事に就職ができ、結婚もしました。子供に農家を継いでほしいと考えていますが、息子に迷惑をかけるわけにはいかないと思い、森田さんの代で農家を辞めるつもりでいました。しかし、農業で生計を立てていたために、辞めてしまうと生活ができません。何か方法はないかと相談に来られました。

・土地は手放したくない
・他の方法で収入を考える必要がある
・土地を残せたとしても森田さんが亡くなった際に息子に迷惑をかけたくない

この3つの観点から相談がありアドバイスをしました。

土地を手放さず収入に繋げるには?

土地を売却することで現金は手に入りますが、手元には土地は残りません。使わない土地は固定資産税がかかるだけで無駄なお金を支払う事になります。
有効活用の方法としては、駐車場や賃貸物件を建てることなどが考えられます。

<駐車場の場合>
調査の結果、需要は少しありそうでしたが周りの駐車場を調べたところ、駐車場の利用金額が少し低いという点がわかりました。それは、たとえ満車にできたとしても収入に不安があるということを意味しています。競合である場所に飛び込むのはいいですが、駐車場の場合は周りとの差がつけづらい点もあります。もし空車が目立った場合には、さらに酷い結果になることが予想されました。

<賃貸物件の場合>
周りの環境を調べたところ、賃貸物件はいくつかありました。また、交通の便もよく立地条件も良さそうで、需要はあると感じました。周りの賃貸物件と同じような条件にしても大丈夫そうでしたが、差別化を図るために、間取りや機能面で差をつけることを提案したところ、森田さんは納得してもらえました。

息子への生前対策

周りの賃貸物件と差をつけたおかげで順調に部屋は埋まり、満室経営で家賃収入も安定しました。家賃収入で固定資産税やローンの返済にも充てられているため、非常に満足されています。さらにこの賃貸物件は貸家建付地評価を受ける事ができますので、森田さんに何かあった際の節税対策にもなります。

<貸家建付地評価とは>
更地の土地と賃貸物件が建っている土地では評価の仕方が違います。条件を満たせば賃貸物件が建っている土地は貸家建付地として扱われ、その土地の評価を下げる事ができる可能性があります。

最後に

昔から家業をやっている家族の場合で問題になるのは跡継ぎの問題です。子供がしっかりと継いでくれる場合とそうではない場合もあります。森田さんの場合は農業をやめる結果となりましたが、周りの条件がよかったため賃貸物件の管理人になることができました。その結果、息子が相続する際に相続税の減額の特例も受けられる事になりました。
もし森田さんの決断が遅かった場合、他の人が賃貸物件を建てて需要がそこで無くなっていた可能性もあります。もし何か相談してみたいという事があれば、すぐにでも相談してみるといいでしょう。