土地と建物の相続について
不動産投資をしている方の場合は、相続の際に注意する点としてその土地の評価や誰が相続するのか、相続人がその土地を売却する場合などが挙げられます。今回は、この点についてご説明致します。
土地について
生前に賃貸物件の建て替えなど色々な方法で土地の評価を下げることは可能です。しかし、被相続人が亡くなった後はこれらの方法が使えず、そのままその土地の評価を出さなければなりません。
まず、土地の評価の方法については路線価方式と倍率方式があります。
路線価方式とは、宅地が面している道路に設定されている価額を基に計算をして評価を出す方法です。
倍率方式とは、固定資産税評価額に一定に倍率をかけ計算する方法です。倍率は税務署や国税庁のホームページに掲載されています。
広い土地を持っていて2つの道路に面している場合は、2つの路線価を使う必要があり、評価が高くなります。しかし、路線価が一つになるように分割をし、相続人2人で取得すれば評価を下げられる可能性があります。もちろん狭い土地を無理やり分けるようなことをすると税務上、認められない可能性もありますので注意が必要です。
また、評価に関しては不動産鑑定士に依頼をすれば出してくれます。不動産鑑定士とは、土地を民間評価もしくは公的評価するなど評価に関する仕事に就く人のことです。国家資格となっており、絶対数は少ないと言われています。
不動産鑑定士に依頼すると費用はかかりますが、その評価から節税に繋がる可能性もあるので、依頼するのも一つの手です。
建物について
賃貸物件の場合は家賃収入などもあることから、配偶者に相続か、もしくは子供に相続するかは悩むところだと思います。もし配偶者に相続した場合、その後の財産が多くなり、配偶者が亡くなった際に相続税が高くなってしまう可能性があるので、賃貸物件の場合は子供に相続させた方がいいと言われています。
<子供が二人いる場合>
子供が二人いてどちらに相続するか悩んだ際には、その子供たちの所得を確認してみましょう。
賃貸物件には家賃収入があるため、相続した後はその子供の所得がかなり上がることになり、所得税を多く納税する事になってしまう可能性もあります。
ですので、所得を比べてみて低い方の子供の相続させることで自身の所得税も下げられ、相続した子供の所得税にも気に掛ける事ができます。
使わない土地や相続税が払えない場合
相続しても使わない土地になる可能性や、相続税が高くなり支払いが難しくなるケースも中にはあります。土地は持っているだけで固定資産税を払う必要があるため負担も大きくなり、売却を考える人もいます。売却をすると譲渡所得税などの税金がかかる可能性がありますが、実際に住んでいた住居の場合は居住用財産の3,000万円の特別控除が受けられる可能性があります。
しかし、被相続人が購入してから5年未満で譲渡した場合は短期譲渡という扱いになり、所得税と住民税合わせて39%の税率になる恐れがあります。
購入してから5年以上経過しているものを譲渡する場合は長期譲渡と扱われ、税率は合わせて20%となるので、購入からの年数には注意が必要です。
購入してから5年以上経過している土地などを売却する際には、相続税の申告期限から3年以内に売却をすると所得費の加算の特例が受けられます。所得費の加算の特例とは、相続税として納めた金額の一部を、譲渡所得(土地、建物、株式、ゴルフ会員権、骨董品などの資産を譲渡・売却することによって得られる所得)を計算する際に「取得費」に加算して計算してもいい、という制度になります。譲渡所得というものの特性上、「取得費」が増えれば、その分譲渡所得も減るので、この制度は譲渡所得税を軽減する、という制度になります。
最後に
土地や建物には様々な特例があり、控除を認めてくれる可能性が大いにあります。しかし、期限や条件を満たしていないと特例が受けられず、税金を多く納めることになりまねません。もし何か気になることや相談してみたい事が少しでもあるのなら、専門家に相談するといいでしょう。