相続の手続き|相続の手続きの流れ

遺産相続

被相続人の財産を相続するとなると、様々な手続きや話し合いなどを行うことになります。それらの手続きは、一生のうちに何度もするような手続きでもなければ、内容も専門的で難しいものになっています。さらに、手続きの中には完了までの期限が厳密に設けられているものもあるので、知らずにいると期限を過ぎてしまっていた、ということにもなりかねません。
それでは、実際に相続が開始すると、どのような手続きなどを行うことになるのでしょうか。今回は、相続が始まってから完了するまでの一般的な流れを説明します。

相続の開始

まず、相続はいつから始まるのでしょう。
相続は、財産を残して亡くなられた被相続人が死亡した時から開始されます。つまり、人が死亡すると同時に相続は開始します。ただし、自らが相続人となったことを知らなかった場合、被相続人が死亡したことを知らされてから相続が開始します。

相続の開始から完了までに行うこと

・死亡届の提出
・火葬場の許可申請
・遺言書があるかどうかの確認
・法定相続人の確定
・相続する財産の調査
・遺産分割協議の開始
・相続の限定承認と放棄の決定(期限:相続の開始から3か月以内)
・被相続人の所得税の準確定申告(期限:相続の開始から4か月以内)
・遺産分割協議書の作成
・相続財産の名義変更手続き
・相続税の申告手続き(期限:相続の開始から10か月以内)
死亡届の提出と火葬場の許可申請は、厳密にいうと相続の手続きというわけではないのですが、相続は被相続人が亡くなると同時に開始するので、相続開始後の手続きとして今回は相続の手続きの1つとしてご紹介します。
上記に挙げた相続が開始してからしなければならないことの中には、厳密に期限が定められているものも含まれているので、それらの期限を守りつつ、相続の開始から完了までに行うことをもう少し具体的にみていきましょう。

相続開始から7日以内

・死亡届の提出
・火葬場の許可申請
死亡届は、死亡したことを役所に申請することで、火葬場の許可申請は火葬場の使用を許可してもらうために申請します。この2つはどちらも故人の住民票がおいてある役所に同時に提出するようにしましょう。また、役所によっては死亡届を出した時点で死体の火葬と埋葬の許可申請書をくれるところもあるので、役所に確認を取られることをお勧めします。

相続開始から3か月以内

・遺言書があるかどうかの確認
・法定相続人の確定
・相続する財産の調査
・遺産分割協議の開始
・相続の限定承認と放棄の決定(期限:相続の開始から3か月以内)
相続の「限定承認」と「放棄」のいずれかを行う場合には、被相続人が亡くなってから3か月以内と決められています。この3か月の期間が過ぎてしまうと、限定承認や相続放棄の意思表示をすることができなくなるので注意しましょう。
また、これらの意思表示をするかどうかを決めるためには、財産の中に借金などの負債があるかどうかを知る必要があるので、特に期限があるわけではないのですが、相続する財産の調査や、遺言の確認、相続人の間での遺産分割協議を行っておくことをお勧めします。
遺産分割協議や相続の承認や放棄の方法に関しては、それぞれ別の記事で具体的にお話します。
相続の手続き|相続の手続きの流れ
相続の手続き|遺産分割協議(近日公開予定)

相続開始から4か月以内

・被相続人の所得税の準確定申告(期限:相続の開始から4か月以内)
1月1日から被相続人が亡くなられるまでの所得税の確定申告を4か月以内にしなければなりません。この期間の所得税は、被相続人の財産を受け取る相続人全員が納税しなければなりません。忘れずにきちんと申告するようにしましょう。

相続開始から10か月以内

・遺産分割協議書の作成
・相続財産の名義変更手続き
・相続税の申告手続き(期限:相続の開始から10か月以内)
相続した財産が控除額を超えていた場合には、相続税が発生します。この相続税の申告は相続が開始してから10か月以内に申告しなければなりません。
相続税の申告を10か月以内に終わらせるために、遺産分割協議書が必要になることもあるので、遺産分割協議は協議書の作成までを含めて10か月以内に完了させておくことをお勧めします。
また、相続財産の中に不動産などがあった場合には、名義変更の手続きなども行わなければなりません。これらの手続きにも特に期限が設けられているわけではありませんが、後々に相続した不動産の名義人が誰なのかわからずに何かしらのトラブルが発生することも考えられるので、忘れずに名義変更を行うようにしましょう。

相続開始から1年以内

・遺留分減殺請求の手続き(期限:相続の開始から1年以内)
こちらは、財産を受け取る相続人が、「相続人が最低限度もらえる相続分(遺留分)」をもらえなかった時に、その相続人が最低限度もらえる相続分(遺留分)を請求することができる制度です。何らかの理由があり、相続財産を全くもらえなかったという人が出てこないようにするためにある制度ですので、この手続きを行うかどうかは任意となっています。相続の際に必ず発生するものというわけではありません。

最後に

今回は、相続の開始から完了までに行う内容を、順序よく行える流れを想定してご紹介しました。
相続は被相続人が死亡すると同時に始まるので、気持ちの整理がついていないままを進めていかなくてはなりません。さらに、どの手続きも普段から行うことのないものばかりですし、聞きなれない言葉もたくさん出てきます。中には、限定承認と相続放棄や、相続税の申告などの厳密に期限が設けられているものも含まれています。できれば、相続関係の手続き全般に慣れた専門家のアドバイスや手助けをもらいながら進めるのが確実といえます。