財産が多い場合の節税方法とは?

土地・建物 節税 遺産相続

財産が多い人は、その財産をどうやって相続するのかを生きている間に決めておくと、残った遺族は相続税を抑える事や、財産をなるべく残した状態で処理する事ができます。しかし、相続を考える時間がないこと、手続きが面倒ということで、処理する前に亡くなってしまう方が大勢いらっしゃいます。その結果、残った遺族は相続の手続きに追われてしまう事になります。今回ご相談をされた田中さんは会社を経営している資産家です。財産が多いため、妻や息子に財産を残したいという事でご相談されました。その田中さんの実体験に基づいた内容をご紹介します。

財産をどうやって分けていくのか

田中さんは歯医者を10店舗運営している経営者です。年収が非常に高いため、節税対策という名目でマンションやアパート、土地を購入しておりました。それらの土地や現金である財産形成も計画的にしてきました。父親が住んでいた土地(実家を含む)を2分筆し、実家が含まれている土地を田中さん、残りの半分の土地を田中さんの弟が相続されました。

しかし弟の方は、その土地を使わずにそのままにしていたので、田中さんはもったいないという気持ちと、自分がその土地を相続するときにうまく使えないかという気持ちを抱きました。子供が4人いたので、それぞれに財産も残したいと思い、将来的にその使っていない土地を購入する事も決めたのです。その土地の時価相当の金額を算定し、その後ローンを組み、購入しました。

60歳になる前までに、会社の事業承継のことや財産の節税、遺産分割について準備したいと思いご相談されました。また、田中さんの希望は自らが他界した際に家族が困らないように相続税対策を行いたいという事でした。財産には不動産や現金、有価証券などがあり、バランスよく財産を保有されていますが、節税対策は行っていませんでした。

所有している土地を節税する方法

さまざまな財産を所有している中で、まずは財産の約半分ほどを占めている不動産から節税できる事はないかと考えました。手軽にできる節税対策として、贈与税の配偶者控除の特例を活用することが可能でした。田中さんの不動産は連帯保証人や奥様との共有名義にはなっておらずご自身名義となっていましたので、夫婦間で財産の調整が取れていませんでした。

奥様が先に亡くなってしまった場合は配偶者控除の特例が適用されないため、相続税の負担が大きくなります。それを防ぐために、奥様に贈与税の負担があまり掛からなくするよう土地を分配します。土地の評価に詳しい税理士に確認して、持分割合を奥様と話合い、不動産を共有しました。

息子の長男と次男が自宅を購入する際は、住宅取得用の現金1,000万円までであれば贈与税がかからない特例を利用しました。三男は弟から購入した土地に自宅を建てる予定があるので、これで息子様全員が自宅を持つことが可能です。賃貸不動産などで調整をして、妻や息子達に理解してもらった上で公正証書遺言を作成しました。

<配偶者控除の特例が適用される条件>
・夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
・配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
・贈与を受けたとしの翌年3月15日までに、贈与により所得した国内の居住用不動又は贈与を受けたものが現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。

引用元:https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4452.htm

所有している物件の生前対策について

田中さんはマンションを区分で所有していたため、その分の相続についても相談されました。所有している物件は地方にあり、また築年数も古い物件でした。管理会社に管理を任せていましたが対応が悪く、また退居された際には次に入居されるまでに期間がかかります。これでは収入がなくなる恐れがあったため、物件を売却する事にしました。
それにより、売却代金で都心の新築マンションを購入し、相続する際に遺族にプラスの財産で渡す事ができます。

最後に

財産が多い場合は、相続について考えなければいけないことが非常に多くなります。
自分ひとりではなかなか解決できない問題もあるかと思いますので、そんなときは専門家に相談することをお勧め致します。