相続した土地を有効活用してリスクを分散する方法

収益物件(アパート・マンション・貸家) 土地・建物 小規模宅地等の特例 遺産相続

相続したアパートなどの築年数が古く、尚且つ空室が多い場合、アパートをリフォームするのか、それともアパートを解体した後に再度建て替えるのが有効なのか、または土地と建物をいっその事売却した方が良いのかなど、相続されたお客様には色々な悩みがあるかと思います。今回は、土地を相続した佐藤さんの実体験に基づきご案内致します。

相続する際にどのような問題点があるのかを確認する

佐藤さんは2年前に夫を交通事故で亡くしました。夫が所有していた財産の中で土地が一番多いことを、夫の確定申告を依頼した際の税理士からの報告で知りました。佐藤さんには2人の息子がいますが、配偶者控除の特例を活かすため、土地を佐藤さんが相続しました。

その後、次男がマイホームを建てたいと希望したので、実家のある土地を2つに分筆し、空いている片方に次男家族が家を建築し住み始めました。将来的に長男にも片方の土地を所有してもらい、息子達に相続しようと考えておりました。

しかし、このまま相続しても問題ないのかと佐藤さんは不安でした。また旦那様は生前に少しでも生活の足しになればと不動産賃貸業を始められましたが、所有している5棟のアパートは築年数が古く、また空室が多く収益を見込めずに困っておりました。

遺産分割して小規模宅地等の特例を適用

まず遺産分割の整理を行うことによって、佐藤さんが住んでいる自宅に「小規模宅地の特例」が利用できることを佐藤さんに伝えました。次男夫婦は実家のある土地を2つに分筆した部分をそのまま相続し、長男夫婦は実家に佐藤さんと住んでもらい、その自宅を今後相続するようにしました。その結果、長男が相続する実家部分の土地に小規模宅地の特例の適用が可能になり、4,000万円以上の相続税を削減する事ができました。

相続したアパートの活用方法に関して

相続した5棟のアパートに関しては、どれも築25年と非常に古く、また駅から徒歩15分ほどの場所に建築されていました。

築年数が古いことと駅から少し離れていたため、入居者が退去した後、次に入居される方が現れるまで期間がかかってしまいます。そのため、5棟で計20部屋あるうちの10部屋が空室との事で悩まれていました。駅からアパートまでの距離に関しては対処しようがないので、アパートをリフォームして入居率を上げる事を考えましたが、修繕費がかなり必要であるという事がわかりました。そのため、駅からの距離、周辺の環境、建物が古いという3点の理由から売却する事にしました。

その時はまだ亡くなった佐藤様のアパートが夫名義になっていたため、登記上の名義を佐藤さん名義に変更して、その後2ヶ月程度で売却が完了しました。

上記のように5棟のアパートが売却できた事により、売却代金が集まったので駅から徒歩5分の新築のマンションを2部屋購入することにしました。1つにまとめるよりは、売却や賃貸がしやすい価格、適度な間取りの物件を選び、それぞれの物件を2人の息子様に相続させる予定です。

自宅を賃貸併用住宅にする事でのメリット

もともと佐藤さんは実家の土地を長男と次男で2つに分筆していました。分筆した土地に関しては、長男の方が土地の比率が多く、比率の大きい土地には元々母親が住んでいる実家がありましたが、今の実家に住むよりも賃貸併用住宅にして住んだ方がより節税効果になることを提案しました。

そして、1階と2階を賃貸住宅、3階を佐藤さんと長男夫婦の自宅にしました。佐藤さんの老後は長男家族が看てくれるため、病気や怪我などの不安も解消されました。
さらに、1階と2階を賃貸で借りている住人から家賃が毎月入ってきますので、生活も安定します。また、賃貸住宅兼自宅の建設で小規模宅地などの特例や賃貸物件である事から「貸家建付地評価」も適用できるため、相続税が極力かからないようにもできました。

<貸家建付地とは>
所有している土地に建物を建てて、その建物を第三者に賃貸している場合のその土地のことをいいます。

最後に

上記の内容のように、相続された土地を有効に活用する事により、その住宅が収入源となり、また特例を利用する事によって相続税がかからないようになります。 相続された土地で困っているのであれば、お早めに相談される事をお勧め致します。