相続における「節税対策が難しいもの」とは?

土地・建物 節税 遺産相続

相続税をなるべく節税しようと思っても、一般の方の知識だけではなかなか難しいのが実状です。
具体的な例でいうと、土地区画整理事業地内になっているような土地は節税が難しいです。
今回は、節税が難しいと言われている土地区画整理事業地内の土地がある場合でも節税を行う事が可能な方法を、実例を入れてご説明致します。

土地区画整理事業とは

公共施設(公園や道路)を整備・改善して利用者を増やす事業のことです。
公共施設などが少ない地域には、元々土地を持っている人(地権者)から少しずつ土地を提供してもらい、公共施設などを作る場合があります。この事業地内に土地がある場合は、節税が難しいと言われています。

菊池さんの場合

菊池さんは、祖父母と両親の3世代で同居しています。しかし、父親が祖父母よりも早くに亡くなりました。それにより、祖父母の面倒は母親が看るようになりました。また祖父も亡くなり祖母の年齢的にも相続の事について考えないといけないと思い、今回相談に来られました。菊池さんが相続するであろう財産は、祖父が引き継いだ自宅付近にある広大な土地がほとんどでした。

大部分を占める土地が区画整理事業敷地内の土地の場合

今回、祖母から受け取る土地は土地区画整理事業地内に指定された土地になっていました。
もし国からの許可がおり造成工事が始まれば、祖母の土地は、位置の変更や面積の減少をしなければなりません。さらには住居を建てようとしても木造程度のものでしか建てることが出来ず、鉄筋コンクリートなどのような頑丈なものは使えません。
また、移転や解体などをしなければならない状況に置かれることもあります。しかし、このまま土地を放置しておいても相続税がかなり掛かってしまうため、節税対策の方法を考えました。

小規模宅地の特例が使えるかどうかを調べる

祖母は公正証書遺言(役所などで行う一番安全で確実に遺言を残すことが出来る方法)を残しており、娘(菊池さんの母親)に自宅を相続すると残しました。 現在は祖母と暮らしているので住宅用の土地と認められ、小規模宅地の特例が適用されて節税することが出来ました。

<小規模宅地の特例とは>
親と子供が同居していた際に使える節税方法の一つです。住居はなくてはならないもので、自宅を所有する事で固定資産税などの税金が掛かります。多額の相続税が掛かると生活が出来なくなるという理由で、この制度が設けられています。
この制度の条件が揃っていると最大で80%の減額が可能です。まず一緒に暮らしていることが大前提です。

収益物件は贈与する事で節税を行う

祖母から相続される財産のほとんどは土地でした。預貯金はほとんどなく、建物はアパートが2棟だけありました。税金の支払いを最小限に防ぐため、アパートを祖母から菊池さんに生前贈与してもらう方法をご提案しました。建物は固定資産税評価が基準となるために、現金で贈与するよりも安く贈与することができます。生前贈与で受け取ったので、相続税に関してはなくなりました。これにより所得税も節税することができました。
アパートの贈与により菊池さんは家賃を受け取ることができ、生活費を確保することができたので、その中から納税資金も貯めることができるようになりました。

最後に

今回は土地区画整理事業になっていて、土地を利用した節税対策が難しい場合の節税方法に関して説明していきました。このような場合は小規模宅地の特例などを使い、親と住んでいる家などを節税対策として使っていくことをお勧め致します。また、相続財産が土地だけではない場合は、先に生前贈与する方法もありますので、状況に合わせた対策が必要です。
気になったことがあった場合は、専門家に相談することをお勧め致します。