新生銀行が取り組む事業承継問題における新たな一手「廃業支援型バイアウト®」とは 新生銀行が取り組む事業承継問題における新たな一手「廃業支援型バイアウト®」とは

難しいのは実施前の決断

平川氏 この廃業支援型バイアウト®って、再生に近いものがあるので、舛井さんの今までの経験が生きるというのがありますよね? ファンドもそうですし。

舛井氏 実は、結果論からみるとまさにそうです。廃業支援といっても、先ほどの事例では、結果的に本業を残すことができましたので、会社を切り分けてGoodを生かして、Badを清算する、昔ながらの事業再生と実際は変わらないように思います。そういう意味では、ほとんど発想は2000年頃から変わってないというか……まぁ、こういうことを好き好んでやる人もなかなかいないですが(笑)

平川氏 こういう事が出来るんだということをみんな知らないから、どうしていいかわからず相談もできないというケースも多そうです。情報をどうやってお客さまに伝わるようにするというのが必要そうですね。

舛井氏 まさにそこが悩みどころです。この事例に関して、われわれのもとにご相談いただいた経緯というのは、コンサルティング的にこの会社の相談を受けていた会計士の先生が、これはいよいよ大変になってきたので早く(事業を)やめさせないと、このオーナー達が大変なことになってしまうということに気づきまして、相当に苦労をして説得されたそうです。そういう意味では、専門家の先生のお力というのは、とても重要だと感じます。

平川氏 私たちもお手伝いしていて、2代目や3代目の方の廃業が難しいのは、親族の手前とか先祖代々続いていた事業を自分の代で辞めていいのか、という思いなのです。社会環境として、今までやってきた事業が時代に合わなくなってきている。でも、それを引き継いだからにはやらざるを得ないという部分で、大きく事業転換できずに赤字化しちゃっているというのが多いのです。そこはひとつ、そういう早めの段階で意思決定してもらうと、いいのかもしれないですね。

舛井氏 私たちをワンクッション最後入れていただくことで、自分の代でダメになったわけじゃない、ということになるものと思います。

平川氏 そこは大きいかもしれないですね。あと、そんな経営状態を続けていると、精神的にもたないのです。さっきの、肩の荷が下りたというのは一番の実感だと思いますけど。その状態で、自分で意思決定して全部ドライにやっていくというのは、なかなか難しいですからね。

舛井氏 事業承継に関してということになれば、5割程度が相談先として税理士の先生、会計士の先生を挙げているのですが、一方で、廃業の相談となると、先ほども申し上げたとおり一桁パーセントということでほとんどないのです。

廃業に関しての相談相手 資料:中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」(2013年12月、(株)帝国データバンク) (注)
1.相談相手として上位1~3位を挙げてもらい、1位の者を集計している。
2.回答割合が1%以下の選択肢については表示していない。

平川氏 それは、反対されてしまうからです。経営者が廃業したいと相談したところで、「いやいや社長さん、もうちょっと頑張りましょうよ」みたいな形で反対されちゃいます。税理士や会計士にとっては、顧客が減ってしまうわけですから、積極的には提案したがらないと思います。

そして経営者にとってみれば、やっぱり一大意思決定になると思うので、先生方に、まぁ、(廃業は)やめた方がいいよ、と言われれば、どうしてもそっちになびいてしまうわけです。

舛井氏 おそらく、経済合理性でいったら明らかに(廃業するほうが)有利だと思ってもなお、感情的には決断しづらい、というのが問題なのです。

平川氏 ただ、事業承継や相続の相談はしてるわけだから、『将来の選択肢の中に廃業というのが出てこないだけであって、それが選択肢の中にあるんだよ』ということや、『廃業といっても後ろ向きの廃業じゃなくて、事業継続の可能性もある廃業なんだよ』っていう、そういういイメージを持ってもらうっていうのは、さっきの事例なんかは非常にいいと思いますね。

舛井氏 そうです。先生方に積極的に廃業したらどうですか、と言ってもらう必要はなくて、「この状況であれば、新生銀行のこんな提案もあるんだけどどうでしょうか?」という風に言っていただけたら、実際に廃業せざるを得ないのかどうなのかというのは、私たちなりに見させていただきます。

平川氏 あとは会計人としての責任感ですね。私も最近、20年近くお手伝いしていた会社が清算しましたが、廃業までに10年以上も低迷した事業を継続していたため、創業者一族にあまり資産を残せなかったんです。もちろん会計を見ていて芳しくないということで何度かご提案はしたのですけど、株がご兄弟で分散していたり、担保になっている不動産が兄弟で共有だったりして、なかなか話が前に進まなかったですね。そうこうしているうちにどんどん状況が悪くなってしまって……もっと前に強くハッキリ言ってあげて、そこで上手に清算すれば多額の資産が残せただろうし、さらに今回のような提案がしてあげられれば意思決定が早く出来たかもしれないと思うと非常に残念です。このように悔いを残さない仕事をするためには、やっぱり経営者と一緒に廃業のタイミングを考えてあげないとな、と思います。

あと、この新生銀行さんの仕組みは、細かい廃業の手続きをやってもらえるわけだから、自分たちで全部やる必要がなく、会計人にとっても本来手離れがいいはずなんですよね。一番大事な、「廃業も視野に入れたところで事業を切り離しましょう」というまでの意思決定を僕らがお手伝いすればいいので、そこは役回り分担ができるはずですね。

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企業のかかりつけ医として

じつはこの廃業の手続きの煩雑さも会計人が廃業に積極的になれない課題のひとつかもしれません。得てして世の中は「やろう」と提案した人が実行までやらされることになるわけです。社内でもだいたいもそうでしょ?(笑) それと同じで、廃業しましょうと提案したら、その実行も全部手伝わされる。もちろん廃業だけですとそんなに報酬が取れる仕事でもないのに、弁護士や司法書士、社労士などと、いろんな部分で連携して調整したり手間だけは大変にかかるのです。

でも新生銀行さんにお願いすれば、全部やってくれるわけでして。しかもうまい具合にオーナーに事業や資産を残してもらえれば、そのお手伝いの仕事はまだ残るわけです。

舛井氏 私たちとしましても、廃業ありきで話を進めるものではなくて、生き残れる会社は当然、生きていけるように支援していきます。廃業支援に関しては、廃業が必要な場合に、お手伝いをさせていただくことで双方にメリットがあるからこそ取引が成り立つわけです。そのあたりをご理解いただけたらなと思っております。

平川氏 例えるならば、事業再生は大怪我してしまってる状態なので誰が見ても緊急手術しかないのですよ。でも、先の例のように、本業で赤字を続けた上の廃業という場合は慢性病みたいなものですので、薬飲んでいれば何とかなるかもしれないと思ってしまうのです。

舛井氏 面白いたとえですね。そうなると、いつか良くなるかもしれないという思いを捨てきれないというのもありますね。特に、色々な経験をして乗り越えてこられている方ほど、環境が変われば、また復活出来ると思っていらっしゃる気がします。

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平川氏 そう。そういう状態だからこそ意思決定が難しいのです。緊急外科手術じゃないからこそ、専門性の高い外科医よりも、経営者に寄り添ってきちっとアドバイスできる立場の、かかりつけ町医者のような顧問税理士や会計士の機能、そういうのが必要だと思うのです。

舛井氏 それは重要ですね。

平川氏 そのためにはM&Aの可能性などをはじめ、この廃業型バイアウト®といった新薬のことを知って、もしそういう状況にある会社があったら、その患者さんに効くと思ったら、それこそずっと見てきたホームドクターたるわれわれのアドバイスをはっきりと強く伝えるべきなのでしょうね。

人間と違って、会社はいつか必ず死ぬわけではないですが、その可能性はいつでも秘めております。そういったなかで、日ごろから兆候を見逃さず、もしダメだとなったときにも経営者がベストな形で最後まできちんと面倒を見られる、税理士や会計士のあるべき形だと思います。

舛井氏 そういう先生に診ていただいたら、健康面でも会計でも、最高ですね。

平川氏 そういえば、これ、新生銀行さんにお願いした場合ですけれど、最初の段階の調査費とかそういうのはかかるのですか?

舛井氏 いえ、検討にあたっての費用はいただいていません。どうやって利益を上げているのですか?という質問を結構いただくのですが、単純に投資そのものでございまして、株式の購入価格と、売却価格(私たちの出口の際)の差額から、経費を引いた分を利益としています。

平川氏 そういう意味では、対応できる案件、できない案件なんてのものあるのでしょうけど、結構範囲が広い可能性がありそうです。不動産があれば、かなり確率上がってきますよね。

舛井氏 そうですね。典型的なものは老舗の会社で、昔から不動産を保有していて、オーナーもある程度これまでの蓄積がある、しかしながら、構造的に不況業種であるという会社でしょうか。あまり逼迫しているのではなく、比較的余裕がある方が、株価に対してもある程度弾力的に考えられる場合が多いので。

また、業種では卸売業、アパレル、印刷業などの会社からのご相談件数が増えてきています。

平川氏 相続のときの評価がかなり高かったら、その値段で買ってくれないと……なんて仰るケースもありそうですね。

舛井氏 先ほどご説明したように、最終的に清算に至るまでの赤字コストや、私たちの投資利益差し引いて計算しますから、見かけの純資産より低めにでるという印象があってもおかしくはないですね。

平川氏 でもそのぶん、普通のM&Aみたくいつまで待たされるか分からないということもなく、経営者には一括で売却分が残る可能性があるわけですし、その後の面倒は一切不要、従業員の面倒までみてくれて、なにより精神的な安寧ももたらしてくれるのは大変有り難い仕組みだと思いますね。新生銀行さんがリスクをとってまでいろいろ手を尽くしてやっていただけるのだから、差分はむしろ安いものなのかもしれません。

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舛井氏 そうおっしゃっていただけると、大変ありがたいです。

私たちは、「廃業」は事業の失敗を意味するものではないと捉えています。その感覚は右肩上がりが止まらないと信じられていた、経済成長時代の考え方です。今後は少子化が進み社会的リソースが制約される中で、経済の活性化を行うためには、効率の悪くなってしまった部分を整理し、新しく効率の高い開業を増やす必要があるという国の方針に則ったものだからです。廃業というのは、後世のためになる、立派な決断とさえ言えそうです。

私たちは、「廃業支援型バイアウト®」というものを、経営者の皆様に、胸を張って有終の美を飾っていただくためのお手伝いをする、そんな思いでやっております。

もっとも、私たちのサービスそのものの認知度がオーナーはもとより税理士、会計士の先生方に対してもまだまだ低いので、このあたりの拡大など、今後課題にしながら進めさせていただきたいと思っています。
状況が悪くなったら、支援もしづらくなるので、早く決断した方が良い場合もあります。
セミナーなどを通じて、廃業も一つの選択肢であることを知ってほしいと思います。

さいごに

今回ご対談いただいた「廃業支援型バイアウト®」の最新情報や詳細については新生銀行さんのウェブサイトにも掲載されています。担当企業さまへのアドバイスの幅を広げようと考えている税理士や会計士の先生方、また、いざというときの選択肢として知っておいて損はない経営者の方々に有益な情報が掲載されております。


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