相続税の税務調査はいつ来ますか?申告から何年後が要注意時期ですか?

相続税の税務調査は申告後いつ来るのか、何年後が要注意時期なのかをイラストと文字で解説するサムネイル画像です。

相続税の税務調査が来る時期は一律に決まっていません。

相続税の税務調査は、申告後1〜2年目に行われることもありますが、国税庁の最新の公表資料では、申告からの経過年数別や月別の実地調査件数は公表されていません。そのため、8月〜11月だけが要注意時期とは言い切れません。税務署が相続税について更正や決定などを行える期間は、原則として法定申告期限から5年で、申告後2年を過ぎても調査対象となる可能性があります。

相続税の税務調査が実施される時期

税務署は、申告書の内容や資料情報等をもとに調査対象を選定します。申告から調査までの期間は一律ではなく、連絡が入る時期も事案によって異なります。

申告書の提出後に調査対象を選定する仕組み

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。国税庁は、資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告であると想定される事案などについて実地調査を行っています。申告から調査までの期間は一律ではありません。

実地調査が行われる時期

国税庁の事務年度は7月から翌年6月までですが、相続税の実地調査について月別の実施件数は公表されていません。調査時期は個々の事案によって異なるため、8月〜11月や確定申告期など、特定の時期だけで判断しないようにしましょう。

💡 プロが教える!実務のワンポイント

相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。税務調査の連絡が来る時期は一律ではないため、1年目や2年目の秋に連絡がなかった場合でも、調査の可能性がなくなるわけではありません。申告書の控えや財産評価の根拠となる資料は大切に保管しておくと安心です。

税務署の事務年度と調査時期の関係

税務署の事務年度は7月から翌年6月までですが、相続税の月別の実地調査件数は公表されていません。事務年度だけから特定の時期に調査が集中すると判断することはできません。

税務署の1年は7月始まり!事務年度(7月〜翌年6月)とは?

一般企業の会計年度は4月始まりが多いですが、国税庁の事務年度は7月1日から翌年6月30日までです。ただし、この事務年度の区切りだけから、相続税の実地調査が8月から本格化すると判断することはできません。

時期別の調査通知の来やすさ

国税庁の事務年度は7月1日から翌年6月30日までですが、相続税について月別の実地調査件数や調査通知の来やすさは公表されていません。そのため、「8月〜11月が最も高い」「1月〜3月は極めて低い」といった時期別の可能性を一律に示すことはできません。

相続開始月から調査時期を特定することはできません

相続税の法定申告期限は通常、相続開始を知った日の翌日から10か月以内ですが、相続が発生した月や申告期限だけから税務調査の時期を逆算することはできません。調査対象の選定や実施時期は個々の事案によって異なります。

相続税の更正・決定等が行われる期間の原則

国税通則法により、税務署が相続税の更正や決定などを行える期間には制限があります。

原則は法定申告期限から5年(国税通則法70条1項)

税務署が相続税について更正や決定などを行える期間は、原則として法定申告期限から5年です。国税通則法第70条第1項第1号に規定されています。

偽りその他不正行為がある場合は7年(国税通則法70条5項1号)

偽りその他不正の行為によって税額の全部または一部を免れた場合などは、税務署が更正や決定などを行える期間が法定申告期限から7年となります。国税通則法第70条第5項第1号に基づく措置です。無申告の場合でも、偽りその他不正の行為によって税額を免れた場合は同様です。

💡 プロが教える!実務のワンポイント

5年または7年の期間は、「被相続人が亡くなった日」ではなく法定申告期限を基準に計算します。例えば2026年1月6日に死亡し、同日に死亡を知った場合、申告期限は2026年11月6日で、原則5年の期間は2031年11月6日までです。

税務調査が入る前の事前通知と調査の流れ

税務調査が実施される場合、法令に基づき事前に連絡が入るのが原則です。突然の訪問に驚かないよう、手続きの進み方を知っておくことが大切です。

電話などで知らされる事前通知事項(国税通則法74条の9))

実地調査が行われる場合、原則として税務署から電話などで事前通知があります。調査開始日時、調査場所、調査目的、対象税目、対象期間、対象となる帳簿書類等に加え、納税義務者の氏名・住所や調査担当者の氏名・所属官署などが通知されます。税務代理人がいる場合は、事前通知を税務代理人に行うことへの同意がない限り、原則として納税者と税務代理人の双方に通知されます。

事前通知が来ない無予告調査(国税通則法74条の10)

事前通知を行うと証拠隠滅や事実の歪曲が行われるおそれがあると判断された場合、通知なしで調査が行われることがあります。国税通則法第74条の10に規定されています。相続税の実地調査でも、同条の要件に該当する場合は事前通知なしで調査が行われることがあります。

調査当日のスケジュールと調査終了までの期間

実地調査にかかる時間や日数は、調査開始後の状況によって異なり、訪問が複数回に及ぶこともあります。調査終了までの期間も事案によって異なります。

💡 プロが教える!実務のワンポイント

調査の事前通知を受けた後でも、実際に調査官が自宅に来る前であれば自主的な修正申告が可能です。税務署の事前通知を受ける前に自主提出すれば過少申告加算税はかかりません(国税通則法第65条第6項)。申告漏れに気付いた場合は、事前通知が来る前に速やかに正しい税額を計算して提出することがペナルティ軽減の境界線となります。

税務調査の対象に選ばれやすいケースと事前の対策

税務調査はランダムに行われるのではなく、明確な選定基準に基づいて実施されます。リスクを減らすための事前準備が欠かせません。

実地調査と簡易な接触の違い

税務署の調査活動には、自宅を訪問する「実地調査」と、文書や電話で確認を行う「簡易な接触」の2種類があります。国税庁の公表資料「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」によると、実地調査は9,512件であるのに対し、簡易な接触は21,969件にのぼります。

税務署が調査対象を選定する際の考え方

国税庁は、資料情報等から申告額が過少と想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案などについて実地調査を行っています。被相続人の財産や生前の資金移動を確認し、申告漏れがないようにすることが大切です。

税務調査前に意見聴取が行われる「書面添付制度」

税理士法第33条の2に基づく書面添付制度を利用すると、税理士が申告書の作成に当たって計算・整理した事項などを書面に記載できます。実地調査の事前通知を行う場合は、一定の場合を除き、その前に税務代理を行う税理士へ意見を述べる機会が与えられます。その段階で疑問点が解消し、調査が必要ないと判断されれば、実地調査に至らないこともあります。

💡 プロが教える!実務のワンポイント

名義預金は、名義だけでなく、誰が資金を出したか、贈与の事実があったか、誰が管理・運用していたかなどを確認して財産の帰属を判断します。家族名義であっても、被相続人の財産と認められる預貯金は相続税の申告に含める必要があります。通帳や贈与契約書など、資金の流れや管理状況が分かる資料を整理しておきましょう。

相続税の調査時期に関するFAQ

Q1:申告から2年が過ぎたら税務調査は絶対に来ませんか?

絶対に来ないとは言えません。税務調査が来る時期は一律ではなく、申告から2年が過ぎても調査対象となる可能性があります。税務署が更正や決定などを行える期間は原則として法定申告期限から5年で、偽りその他不正の行為がある場合は7年となります。申告内容を後から確認できるよう、申告書の控えや関係資料は大切に保管しておきましょう。

Q2:税務調査の事前通知が来たら日程の変更はできますか?

合理的な理由があれば日程変更は可能です。国税通則法第74条の9第2項により、仕事の都合や体調不良、税理士の立ち会い都合などの理由を伝えれば調整に応じてもらえます。変更を求める際は、代わりの候補日をいくつか用意して税務署へ連絡するとスムーズです。

Q3:連絡が何もないのは税務署に申告が認められたということですか?

連絡がないことが直ちに申告内容を認められたことを意味するわけではありません。税務調査が行われ、その結果、更正や決定などをすべきと認められなかった場合には、その旨が書面で通知されます。一方、そもそも調査が行われていない場合に、申告内容を認めたという通知が届く仕組みではありません。

Q4:税務署から「お尋ね」の紙が届いたのは税務調査の開始ですか?

「お尋ね」は税務調査ではありません。お尋ねが届いた段階で財産を再点検し、申告が必要であれば期限内に相続税申告書を提出しましょう。「相続についてのお尋ね」が届いた場合は、お尋ねに代えて「相続税の申告要否検討表」を提出することもできます。

相続の不安は税理士へ相談を

相続税の申告や税務調査への対応を自己判断で行うと、適切な特例を見落としたり、名義預金の判定を誤って過少申告加算税などのペナルティを受けたりするリスクが高まります。税務調査の時期や対象への不安がある場合は、相続税に精通した税理士へ早期に相談し、正確な申告と事前の調査対策を整えることを推奨します。

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柏原 朋恵

監修者:税理士 柏原

商社での経理実務を経て、会計業界へ転身。税理士法人にて約20年にわたり、中小企業の決算・税務申告から、上場企業の連結納税、SPC業務まで幅広く従事。みつきコンサルティングではオーナー企業の事業承継や相続税・贈与税のアドバイスも提供。本記事では、長年の実務経験に基づき、内容の正確性と専門性を担保するため、専門家の視点から監修を行っている。(税理士登録番号:126165)