相続の教科書

特別縁故者ってなに?

相続のことを考えたとき、世話をしてくれた人(特別縁故者)に遺産を受け取ってもらいたい、と考えるのは当然のことだと思います。今回は、その特別縁故者とはどのようなものか、どのような手続きが必要なのかをご説明致します。

特別縁故者とは

遺産相続は、原則血のつながった第三親等までで行われるものです。しかし、身内がいない場合は、普段から介護を行ったり、老後のお世話してくれたりした方などに遺産相続ができるよう、特別縁故者という制度があります。

具体的にどういった人がなれるのか

特別縁故者には、裁判所での基準は特にありませんが、実際に重要視されているのは親族間の関係性ではなく,介護などの実施的な関係がどれくらいあったかということです。そのため、仕事の一環で介護や看護として被相続人に付き添った方は、通常特別縁故者には当てはまりにくいとされています。もちろん、被相続人の方の看護を献身的に努めたと評価され、特別縁故者として認められる事もあります。

特別縁故者としての申立期間

特別縁故者の申立期間は、相続財産管理人が相続人の捜索を官報にのせ、その掲載期間が終わってから3か月以内です。この3か月を過ぎると申立が出来なくなります。

特別縁故者として認められた場合

特別縁故者として認められた場合、どれくらい遺産を譲り受けられるのか判断するのは裁判所です。どうやって決めるかは、被相続人との関係性や、決め特別縁故者の年齢・職業・相続財産の種類・状況・所在などの細かい部分などによって判断されます。そのため、裁判所に細かく事情を説明する書面を提出し、亡くなった被相続人との事実関係を理解してもらうことになります。

特別縁故者には認められない控除

特別縁故者は法定相続人とは異なるため、以下のような控除は適用されません。
・基礎控除での相続人1人あたりの控除
・配偶者の税額軽減
・相次相続控除
・障害者控除

相続権を有していなくても「特別縁故者の制度」を活用して遺産を譲り受けることが可能

この特別縁故者の代表的な存在として、内縁の妻がいます。最近では事実婚といもいいますが、気持ちは結婚と同じような生活をしていても、法律上は戸籍が入っていないために相続財産をもらう権利はありません。しかし、法律上の相続人がこの世に誰もいないことが確定しているのなら、内縁の妻に相続財産を分け与えてもよいのではとされています。注意しなければならないのは、内縁の妻がすべて特別縁故者になれるわけではありません。あくまで相続人がこの世にまったくいないと認められる必要があります。

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