相続人には法定相続分が決まっています。遺言書を残すことであらかじめ分割の方法は決められますが、もし法定相続分よりかなり低い金額が書かれていた場合には、「遺留分滅殺請求」の手続きをすることで「遺留分」が認められる可能性があります。今回はこの遺留分滅殺請求についてみていきましょう。
遺留分って何?
相続人は被相続人の続柄で法定相続分が法律で決まっており、それを受け取る権利があります。しかし、被相続人は遺言書で誰にどれだけ渡すかを指定することができるのです。しかし、お互いの権利を尊重するために「遺留分」を定め相続人の権利を守っています。
遺留分減殺請求とは?
自己の遺留分を侵害された遺留分権利者やその承継人は、自己の遺留分を保全するために必要な限度で、贈与や遺贈などの減殺を請求することができます。これを遺留分減殺請求といいます。遺留分権利者が遺留分減殺請求の意思表示を行ったあと、話し合いが行われたり、調停や訴訟提起がなされたりします。
遺留分減殺請求権の時効
遺留分減殺請求権は、請求権者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年の経過で時効になります。既に時効が成立していると思われる場合には、安易に相手方と交渉を行わない方がいいでしょう。もし、時効が成立していたにも関わらず、相手方の請求を認めてしまった場合には、時効の成立を主張できなくなってしまう可能性があります。
手続きの方法
すぐ話し合いができる場合は、直接相手に連絡をしましょう。もし難しいのなら内容証明郵便で遺留分滅殺請求書を郵送しましょう。裁判になる場合でも、いきなり相手と法廷で争う訳ではありません。まずは民事調停として話し合いの場が作られます。ここで話がまとまらない場合に民事訴訟となり、140万円以下は簡易裁判所、それ以上は地方裁判所になり判断を委ねます。請求権は1年間で時効となりますので注意が必要です。
正当な相続財産を受取るために
遺言は意思表示としては良いですが、相続人にとって不利な条件が書かれていた場合に、その相続人の今後の生活が脅かされないために遺留分滅殺請求という制度があります。遺留分減殺請求ができる人は、ある一定の条件を満たしている人でないと申請が出来ません。また、兄弟姉妹には請求権そのものがありませんので注意が必要です。被相続人の兄弟姉妹は、被相続人が亡くなった時、既にそれぞれが独立して生活していることが多いはずです。その観点から、兄弟姉妹は被相続人の財産を当てにするような経済状態ではないと考えられています。相続問題が複雑なトラブルに発展しないためにも、早めに専門家へ相談してみることも対策のひとつです。