遺産があるのに相続放棄なんて考えたことがなかった、と思う方は少なくないでしょう。しかし、相続する財産には負の遺産、つまり借金がある場合があります。また、被相続人の遺産について全く分からないため相続放棄をしたいと考える方もいます。今回は相続放棄の手続きや期間についてご説明致します。
どこで相続放棄の申請を行うのか
亡くなった方の住宅地を管轄している家庭裁判所で申請を行います。
誰が申請に行かなければならないのか
原則として相続人が申請を行います。
いつまでに申請しなければならないのか
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に相続について単純もしくは限定の承認又は放棄をしなければなりません。ただし、この期間は利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができます。相続人は相続の承認または放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる、と民法915条で定められています。
書類等は何が必要なのか
必ず必要になってくるもとして、「相続放棄申述書」「被相続人の住民票除票」「亡くなった人の死亡記載のある戸籍標本」「届け出を出す人の戸籍標本」の4点です。また他にも追加書類が出てくる可能性はあります。
費用はどのくらい掛かるのか
個人で行う場合は、相続放棄の申述書に添付する印紙代800円などが掛かるため、その他の書類の収集を考えるとおおむね3,000円は掛かるでしょう。また、裁判所からの連絡用の郵便切手代数百円分も必要となります。また司法書士や弁護士などの専門家に依頼する場合は別途費用が必要です。
書類が承認された後はどうなるのか
家庭裁判所に必要書類を提出すると「照会書」が届きます。その照会書に間違いなく自分の意思で相続放棄することと、相続放棄の理由を記入します。またこの紹介手続きは裁判所によって異なります。面談がある場合や、手続き自体を割愛する場合もあります。 その後、相続放棄が認められた場合「相続放棄申述受理通知書」という書類が家庭裁判所から届きます。これが届いた時点で相続放棄は完了です。
相続放棄をするときの注意点
相続放棄申述受理通知書が届いたとしても借金の債権者に対して家庭裁判所から相続放棄をしたことを伝えてくれるわけではありません。別途、相続放棄申述受理通知書を提出することは覚えておくとよいでしょう。また相続放棄申述受理証明書の提示を求められるかもしれません。これは家庭裁判所から別途発行することとなります。
最後に
相続放棄は借金の放棄はできますが、同時に他のプラスの財産も放棄することになります。相続人になれば、相続するかどうかの判断が必要です。相続人になったときから、遺産がプラスなのかマイナスなのかを調べておく必要があり、もしマイナスの遺産だった場合は相続放棄をする必要があります。その期限も3か月と決まっていますので早めに動き出すことをお勧めします。