青山さんは、亡くなった配偶者からの相続で自宅・貸店舗を引き継ぎました。しかし、引き継ぐときの遺言に問題があり、相続での話し合いがうまくまとまらなかったようです。どのようにまとまらなかったかというと、納税すると考えていた土地は息子と青山さんの共有の土地となっており、全く売れない土地だけが子供に相続されてしまいました。ただ所持していても税金が掛かってしまいます。息子は税金を支払うような余裕はなかったようです。自営業をしていた時の借金もあったため、借金や相続税の事について、税理士の元へご相談に来ました。
今回の事例のポイント
青山さんは被相続人である亡くなった配偶者から自宅と貸店舗を引き継ぎました。しかし、相続した土地は子供と共有の土地になっていました。息子に残っている土地は売値がつかないような土地ばかりで、みんなが納得してくれるようにしてほしいとのことです。 まずは、遺産分割に変更し、相続税をいつ支払うかを決めることにしました。貸店舗と土地をうまく売却する事ができたので、それにより子供たちの相続税を支払うことが可能になりました。その結果、青山さんは無駄な支出がなくなり、自営業の時に銀行から借りたお金を完済することが出来ました。 しかし、青山さんは納税をすることなく土地を売却したために、譲渡税を支払わなくなければならなくなりました。これをそのまま支払うのではなく、事業用資産の買換え特例を利用し、払うはずの譲渡税を繰り延べすることが出来ました。
事業用資産の買換特例とは
個人が事業用に持っている土地を譲渡し、一定期間内に決められた場所での買い替えを行った場合、課税を将来に先延ばしすることができます(譲渡税が無くなるわけではありません)。これを事業用資産の買換えの特例といいます。
売った金額よりも買い換えた金額の方が多い場合、売った金額に20%の割合をかけた金額を税金として支払うことになります。
事業用資産の買換え特例を満たすために物件を建てる必要があるので息子と青山さんの共有賃貸住宅を建てることにしました。さらに二次相続で分けられるように2棟のマンションを建てました。2棟に建てることにより譲渡税の節税、さらには相続税の節税も行うことができ、二次相続で揉める心配もなくなりました。事業用資産の買換え特例を利用し、現金を残した状態にすることができたことも大きなメリットです。
最後に
相談者の青山さんは遺産分割にすることで相続税の節税を行い、事業用資産の買換えの特例を利用して現金を残すことに成功しました。事業用資産の買換えの特例で所有地が必要になるために、賃貸用のマンションを2棟購入し二次相続の時に揉め事にならないようにしました。
このようなテクニックを自分ひとりで考えるのは非常に難しいので、一度専門家に相談することをお勧め致します。