相続の教科書

借家を解体して新たな賃貸マンション等を建てる事での節税方法

税理士に相談された中沢さんの母親には、両親からの相続で譲り受けた土地があり、30年間ほど不動産賃貸業を営み生計を立ててきました。その土地は350坪ほどあり、そこには中沢さんの母親の自宅と借家が建っております。母親が80代と高齢になり1人で暮らすのが難しくなりました。そこで中沢さん夫婦が母親と一緒に暮らすようになりました。非常に大きな敷地なので兄弟も近隣に住んでおり、全員が交代で母親の介護をしていました。

今回、相談に来られた理由は、これから中沢さんが相続するときに、十数件所有している賃貸アパートなどをどうしていくかという問題がありました。そこの賃貸アパートは両親から引き継いだ物件で、築年数が古く、年々管理費や修繕費用が上がっていくだけではなく、長年住んでいる方の中には家賃滞納者などもいました。

今後相続によってこのアパートの賃貸業を任せるなどと言われても、正直このまま引き継ぐよりも、もっと良い状態で相続をしたいとも考え相談しに来ました。

今回のケースのポイント

・母親は賃貸業をしており、十数件の賃貸アパートを所持している。
・引き継ぐアパートは築年数も古く、修繕費や管理費が年々上がっており、長年住む人は家賃の滞納者がいる。
・中沢さんが引き継ぐときはもう少し状態が良い状態で相続したいと思っている。

財産をすべて把握する

まず中沢さんの母親が、どれくらい預金があるかを調査しました。そうすると十数件の賃貸アパートでの収入で約1億円近くの預金があることがわかりました。しかし相続となると、現金を持っていた場合の相続税は不動産を所有している場合よりも多く徴収されてしまいます。

古い不動産物件は建て直す

この現金で古くなったアパートを取り壊し、新たにマンションを建てるのが一番良いのではないかと判断しました。またアパートの住民たちには、建物が古くなり生活するうえで非常に危険と理由を説明し、立ち退きの了承を得ることが出来ました。
取り壊しや立ち退きなどで使った費用は中沢さんの母親の預金から出ているので、節税対策もできていて、中沢さんが相続するときは不動産収入が得られるマンションになっているので、賃貸業の方も安心してできます。

最後に

まず、母親の現金での預金がどれくらいあるかを確認することで、賃貸アパートをどうするかを決めました。今回は現金がかなりあったので、取り壊してマンションを建てることになりました。母親の預金を現金で使うことで節税することも出来ました。
もし預金が少なかった場合は、1棟売りに出す方法や取り壊して土地として売る方法もあります。相続される財産が多くあればあるほど相続税がかかるので、専門家に一度相談することをお勧め致します。

モバイルバージョンを終了