節税対策にはさまざまな方法があり、贈与をすることで節税に繋がる場合があります。今回はそのようなケースを実例に沿って説明していきたいと思います。
事例:鈴木さんの場合
亡くなった鈴木さんの両親には、自宅と自宅に隣接している駐車場、土地、現金といった財産がありました。
鈴木さんの父親は実家、土地(駐車場など)、現金の財産を持っていましたが、亡くなってしまいました。母親も亡くなっていたため、長女である姉と二人で財産を分けることになり、鈴木さんは自宅と駐車場、姉は現金と駐車場以外の土地を相続する事になりました。
相続税にかかる金額が高すぎて…
鈴木さんの両親は生前に相続税対策を行わなかった為に、相続税もそのまま課税されてしまいました。鈴木さんと姉は自分たちの貯金もあったので、なんとか支払うことはできたそうです。しかし、鈴木さんは結婚をして子供もいるために、ゆくゆくは自宅と駐車場は子供に相続されます。その際に、自分たちと同じ思いをさせたくないと思い、今回相談する事に決めたそうです。
鈴木さんの財産について
鈴木さんの財産は親から相続した自宅と駐車場、そして鈴木さんの預金があります。
今回でいうと、実家と駐車場に関して特例の適用ができそうでした。
<実家に関して>
自宅の名義は鈴木さんの単独名義でした。
これを、登録免許税(不動産登記をする際にかかる税金)や不動産取得税(不動産を取得する際にかかる税金)はかかってしまうものの、奥様との共有名義に変更してもらいました。
ただ共有名義にするだけでは意味がありませんので、「居住用不動産の贈与の特例」を利用し、贈与をしてから共有名義にしました。
この居住用不動産の贈与の特例は、結婚して20年以上の配偶者から家の贈与もしくは取得の際資金を贈与された際にかかる贈与税を控除できる特例です。
通常の贈与税の基礎控除は110万円となっていますが、この特例は2,000万円の控除ができ、通常の基礎控除との併用もできるため、2,110万円まで控除できます。
贈与をすることで贈与者の財産が減少するため、相続税の節税に繋がります。鈴木さんのケースでは、家のある土地とその建物の2,110万円を超えないような金額を贈与したという事にしました。
その贈与した金額は鈴木さんの財産から減少するので、相続税対策となります。
<駐車場に関して>
実家の周りは住宅街で、隣接している駐車場と実家がある土地を含めると、他の住宅よりかなり広くなります。土地の価格は評価によって変わりますので、高い評価になれば価格も高くなりますし、逆に低い評価になれは低くなります。土地の評価については、広大地での申請、もしくは小規模宅地等の特例(条件を満たしたものに対して評価を最大80%下げられる)などで評価が下げられる可能性があります。
どうして広大地によって評価が下がるかというと、土地が広ければ、もちろんその分だけ評価が高くなります。そして、高くなればなるほど買い手もいなくなる可能性があります。それを防ぐために、周りの土地に比べかなり広いと認められた場合に、土地の評価を下げるということが認められているのです。
最後に
今回の鈴木さんの場合は、土地の評価を下げる方法や贈与によって節税する事ができそうです。しかし、それぞれの方法にはメリットやデメリット、もちろん条件などもあります。ご自身がどの節税方法が一番適しているのか等の判断も難しいです。
もし節税に興味があるのなら、一度専門家に相談してみることをお勧め致します。